「Wasteland」
- 物販商品(自宅から発送)あんしんBOOTHパックで配送予定¥ 400
2006年10月28日発行/オフセット/A5/84P 「君は僕と別れたいのか?」 「そうねえ」と、不二子はテーブルのワイングラスの淵を、赤く塗られた指先で弄んだ。「別れるのはともかく、こういう脅しに屈するというのはあたしの性に合わないの」 エドワードはほっと安堵の息をついた。 「だったら、こんな手紙は無視するに限るよ」 「でも、誰が出したか興味ない?」 「――不二子?」 赤ん坊のように艶やかな唇が、にんまりと笑みを刻んだ。 (「Nemesis」本文より) 昼過ぎから降り続けた雨は少し前にやんでいたが、生憎と足元が乾くほどの時間はなかったようだ。次元はやれやれと帽子の鍔を引き下げ、湿ったコンクリートの上に伏せると、Walther WA2000の銃尾を肩に当てた。一千メートルの射程距離を誇るこの銃は、腕に抱えて獲物を待つには些か思いのだ。 しかし、然程待つこともなくチャンスは訪れた。 (「Stranger~NAGEKIDORI 2~」本文より)
2006年10月28日発行/オフセット/A5/84P
「君は僕と別れたいのか?」
「そうねえ」と、不二子はテーブルのワイングラスの淵を、赤く塗られた指先で弄んだ。「別れるのはともかく、こういう脅しに屈するというのはあたしの性に合わないの」
エドワードはほっと安堵の息をついた。
「だったら、こんな手紙は無視するに限るよ」
「でも、誰が出したか興味ない?」
「――不二子?」
赤ん坊のように艶やかな唇が、にんまりと笑みを刻んだ。
(「Nemesis」本文より)
昼過ぎから降り続けた雨は少し前にやんでいたが、生憎と足元が乾くほどの時間はなかったようだ。次元はやれやれと帽子の鍔を引き下げ、湿ったコンクリートの上に伏せると、Walther WA2000の銃尾を肩に当てた。一千メートルの射程距離を誇るこの銃は、腕に抱えて獲物を待つには些か思いのだ。
しかし、然程待つこともなくチャンスは訪れた。
(「Stranger~NAGEKIDORI 2~」本文より)